フルトヴェングラーのヴァイオリンソナタ第一番を聴きました

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ソフィー・モーザーのヴァイオリンとカーチャ・フーンのピアノでフルトヴェングラーのヴァイオリンソナタ第一番を聴いてます。

 

壮大かつ広大に音楽を展開しています。交響曲などの管弦楽を用いた大作でのフルトヴェングラーの作風がヴァイオリン・ソナタの分野においても顕著に現れています。

 

ヴァイオリンは思索的な深さを聴かせる事もあれば、劇的な華麗さでもって奏でる事もあります。ニ短調の哀愁感をまざまざと響かせるのです。

 

ピアノの方はと言いますと、テンポの遅い部分では静かな低音を弾く時は悪魔的な囁きを醸し出します。速度の速い部分では中音域から高音域のではヴァイオリンに負けじと深淵で力強い音響を紡ぎます。

 

総じて言うと、フルトヴェングラーらしい哲学性の深みを淑やかに弾き出しては、上へ上へと上昇していく昂揚感の溢れる壮麗さを見事に表現した良好な演奏であると言えます。この曲は約55と分ヴァイオリン・ソナタとしては異例の長さです。しかし、この曲は時として鋭く突き進んでは、下へ下へと深く下降していくメリハリも付いていて、聴き手を飽きさせません。

 

ちなみに、この曲は1937年に作曲と第二次大戦が2年前に迫っていました。それもあって、やはり厭世的で深刻さもにじみ出ています。そのような情勢の中にありながらも、音楽家としての意志を持って作曲を続けたフルトヴェングラーの姿勢が感じられる隠れた名曲と言えましょうか。

 

 

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