ドヴォルザークの歌曲を聴きました

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ドヴォルザーク作曲の10曲の聖書の歌を聴きました。ダグマル・ペッコヴァのメゾソプラノとイリジー・ビエロフラーヴェクの指揮、チェコフィルハーモニー管弦楽団の演奏です。

 

それぞれの曲は4分に満たない程度、管弦楽の編成も小さいのですが、とても叙情的で旋律美に溢れています。全体的に穏やかな響きの中にグイグイと耳を引き込み、どこか強い拍子で聴かせる所は、ドヴォルザークならではと言った所です。

 

メゾソプラノのペッコヴァはそんな曲を深みたっぷりに歌い上げています。神への祈りと慈悲を求める心情を深刻さと真摯さも込めて聴かせているのです。憂いも実直に伝えてきます。

 

一方のオーケストラの方も地味ながら味を利かせて響かせています。女声の歌声にそっと添えて音を鳴らし、柔和なものとをなっています。それを通して、温かで素直な気持ちを作り上げるような音響効果も生み出せているのです。

 

ちなみに、この曲は1894年に成立、ドヴォルザークアメリカに居た頃に作曲されました。その時の作曲者といえば、新世界交響曲などで音楽家として充実していた一方、ホームシックになっていた頃でもあります。その上、チャイコフスキーなど親交のあった大物の音楽家の訃報もドヴォルザークの耳にも届き、本人の気持ちも沈んでいた事でしょう。その様に落ち込む自分を慰め、神による救いを考えてたのを機に聖書による詩の歌曲を10曲作ったのではないでしょうか。当時の心の中をやんわりとこの曲は表現している様な隠れた名作です。その内の5曲が管弦楽にも編曲され、こうして演奏されたのです。

 

 

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