ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第一番をエマーソン四重奏団の演奏で

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ヤナーチェク作曲の弦楽四重奏曲第一番「クロイツェル・ソナタ」を聴きました。

 

劇的な緊張感が持続していて、四本の弦楽器が緊密に絡み合っています。その為、非常にまとまりが良いものとなっています。更に、それぞれの楽器の音も明瞭で弦楽四重奏曲という分野がいかに対位法を聴かせてバランス良く展開させていく事が大切かよく分かります。すなわち二つ以上の旋律を同時進行でキチンと紡ぎ出し、尚且つしっかりと各々の独自性を重んじられるかが肝要かを思い知らされるのです。

 

それから、技術面だけでなく強弱の付け方も巧みなものとなっていてメリハリが充分です。音響の起伏が大きく時には静寂に時には大胆に音楽を進めていて、聴き応えが抜群です。その際も不協和音とそのメロディを当然の如く鋭い響きで奏でています。比較的静寂な部分や速度の遅いでもその傾向はあり、仏教の瞑想の様な念をも感じさせます。この事からもこの四重奏団が近現代の作品と相性が抜群で、その演奏に長けていると言えます。

 

ちなみに、この第一四重奏曲の「クロイツェル・ソナタ」という題名は小説の名前に由来しています。その作者はトルストイで主人公の男が妻の不倫を知り、殺すという筋書きです。その順通りにこの曲が展開しています。道理で劇的で攻撃的な暗澹さを感じさせるわけです。私はこの小説を読んだ事はありませんが、いつしか読みたいものです。

 

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