グレン・グールドの1955年のゴルトベルク変奏曲を

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大バッハゴルトベルク変奏曲グレン・グールドの演奏で聴きました。1955年の方です。

 

曲の速度は早めながら澄みきった音を奏でています。変な緊張感は出さずに気さくな演奏法で和ませられています。その分、現代ピアノでありながらも昔ながらのバロック様式でスルスルと奏でている感じですね。1955年の頃と言いますと、バロック音楽はバリバリ現代の様式でがっしりと奏でる事が主流ですが、時としてその傾向を示すこともあり、上手い具合に二つの特色を両立させているのです。

 

それから、グールドは軽やかに躍動感を持って弾き出すこともあれば、独特のリズムを踏んでポップに演奏することもあります。一つ一つの音も緊密に結びついていて、濃縮性もあります。この点からグールドは発表当初、ジャズ的等と批判されることもあれば斬新さのある演奏として評価されたのでしょう。ですが、それだけ大バッハの音楽は後世に多大な影響を及ぼした事の裏返しであると見做せます。温故知新を如実に示した録音ですね。

 

こうして評価していると、大バッハの音楽はクラシックというジャンルを超えて愛されている事が伺えます。ジャズの分野ではキース・ジャレット平均律を録音していますし、長調短調の音階を全て用いて作曲ている辺り、彩りあるメロディの基礎を築き上げたとも言えます。私が更に驚いたのはJ-POPの分野でも大バッハの音楽が用いられていた事ですね。それはSEKAI NO OWARIのBlue Flowerという曲で、皮肉まじりな曲調で怪しげな中にバッハのチェンバロ協奏曲の旋律を混ぜていました。こんな使い方もあったのか!と衝撃を受けたのをよく覚えています。

 

 

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