X JAPANのArt of Lifeを聴きました

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今回は番外編でロックバンドのX JAPANArt of Lifeを聴いてます。

 

この曲はイントロ付きのロンド形式ABAの展開をした三部形式です。

 

イントロはリードギターアルペジオとピアノのちょっとした装飾が登場です。しかし、ライブではYOSHIKIのピアノソロで奏でられます。このメロディを聴くと、特に後者の方では、どうしても大バッハ平均律1巻の第1番での前奏曲を連想します。他にもフルートやホルン・ハープの音色に弦合奏も聞こえてきます。YOSHIKIのセンスの良さを物語っていますね。サビの旋律の直前でのチェンバロの音もオシャレです。

 

この曲の作詞作曲はYOSHIKIで、彼は幼い時からクラシック音楽を中心に音楽を聴き、ピアノを習っていました。初めて買ったレコードはシューベルトの未完成交響曲でした。ですが、11歳の時にKISSのレコードのジャケットに惹かれてそれを購入、そのバンドに感銘を受けてドラムを始め、ロックに目覚めたのです。

 

彼が高3の時は音大を目指してましたが、コンテストで賞を取ったのもあり、高卒でバンドマンとしての道を歩んだのです。

 

その曲は悲愴な疾走感と澄んだ美しさが併存しています。

前者にはYOSHIKIの父親が自殺してしまった事への悲しみが特に投影されていています。

そんな曲をボーカルのToshIは透き通った高音で繊細さと力強さで歌っています。ギターもベースもドラムも細かいテクニックでガンガン飛ばしています。

 

後者を私が感じたのは中間部でのピアノの多重演奏の箇所ですね。短調の切ない響きの基本主題が登場です。ブラームスの第四交響曲の第2楽章のイントロのようなメロディですね。それからピアノの高音部の不協和音のパッセージが幾重にも重なって登場します。ここからはメシアンのギラついた煌めきを更に過激にさせた様な響きを生んでいます。バルトークのようでもありますが、ロックの人ならでの強さです。

 

この曲の終盤にはシューベルトの未完成交響曲の第1楽章の第1主題が弦合奏の低音で奏でられています。YOSHIKIの原点回帰をこの大曲で行ったのかなと思い起こします。この後のサビのメロディとその伴奏は最初に出てきたそれよりも更に透明感を増していて、様々な葛藤を乗り越えた末にYOSHIKIという音楽家が誕生した事を歌い上げているかのようです。

 

まさしくArt of LIfeYOSHIKIの人生の芸術を表す29分の大作です。

 

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