ショスタコーヴィチ作曲・チェロ協奏曲を聴きました。

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アリサ・ワイラースタインのチェロとパブロ・ヘラス=カサドの指揮とバイエルン放送交響楽団の演奏で、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲二曲を聴いてます。

 

アリサのチェロには極めて鋭利な力量たっぷりな覇気が込められていて、圧巻です。速度の遅い楽章では厳かにも歌心を混じえて心の隅々にまで染み渡るような演奏を繰り広げています。

 

カサドの指揮は真摯にブレ無く立体的な壮大さが出るようにオーケストラと向き合えています。バイエルン放送交響楽団ショスタコーヴィチ諧謔やその心理を淡々と表現していて、チェロに負けじと切れ味よく展開しています。

 

ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲は二曲とも第二次大戦後に作曲され、第1番は1959年作曲、2番は1966年と晩年の作品です。両方ともロストロポーヴィチに献呈されました。

 

1番の編成は弦合奏・定番の木管楽器2本ずつ(これを2管編成と呼びます)で金管楽器はホルン一本のみな上にティンパニチェレスタだけと彼にしては小振りです。その簡素さの中に作曲者の皮肉たっぷりな戯けた曲調と個性が凝縮されています。作曲当時はスターリンが無くなってから6年ほど経ち、雪溶けの時代とも呼ばれていた頃です。多少の安堵も見えます。

 

2番の方はというと、1番同様に2管編成で金管楽器はホルン二本のみです。打楽器を多彩に用いています。こちらは当時の心臓病に悩まされた頃の作品で、その苦しみがティンパニの一打にも現れています。貧しい物売りが歌ってた曲のメロディも含まれ、共産主義社会での人々の苦しみ・ソ連国内の自由の効かない貧困も投影されています。最終楽章はまさに葛藤の嵐ですね。

 

ちなみに、チェリストのヴァイラースタインはロストロポーヴィチから教えを受けた一人で、これらの作品を引き継いで演奏をCDにしてリリースしています。これも受け継がれるべき古典の醍醐味の1つですね。

 

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