クナッパーツブッシュ指揮、ウィーンフィルの演奏でシューベルトのザ・グレートを聴きました。
クナッパーツブッシュ指揮、ウィーンフィルの演奏でシューベルトの交響曲第9番を聴きました。いわゆるザ・グレートですね。
重厚で多少遅めの指揮のやり方はクナッパーツブッシュならではです。例えば第1楽章の終結部では威風堂々としています。木管楽器の音の一つ一つを明瞭にさせる傾向にあり、弦楽器の厚い響きに負けんばかりに対等に音を鳴らしています。
少々固めに茹であげたかの様なメロディの線を保ちつつ、高音から低音に至るまでバランス良くオーケストラの音響を引き出しています。
それから、フォルティッシッシモで音を強調する部分では、極太で一瞬刺すような音を立てて印象付けているのも特徴的です。聞き応えがあります。
ちなみにこの曲はシューベルトの亡くなる2年前すなわち1826年に完成され、ウィーン学友協会に提出されました。しかし、結局彼の生前に演奏される事は無く、1839年にシューマンがその楽譜をシューベルトの家で再発見し、それをメンデルスゾーンにも送ってやっと初演されました。
この曲はシューベルトが最後にちゃんと完成させた交響曲に相応しい大規模さと長大さに特徴があります。恐らく彼の楽曲の中では最大規模です。ベートーヴェンの第九へのオマージュも窺わせますし、声楽を用いない楽器だけの交響曲の中では最も大きい交響曲です。その演奏時間も50分台です。クナッパーツブッシュはこの曲を遅めの速度で展開させている為、いかにグレートで大きいかを強調しているかのようです。
詩情性や歌心などシューベルトの個性が遺憾無く発揮されています。自らの持ち味を盛り込み、長々とメロディを展開する所はまさしくロマン派の作曲家の特徴であり、ブルックナーやマーラーなどその後の作曲家も次々と影響を受けたと言えましょう。
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