リヒャルト・シュトラウス作曲のヴァイオリン協奏曲をアシュケナージの指揮で

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ウラジーミル・アシュケナージの指揮、ボリス・ベルキンのヴァイオリンとベルリン放送交響楽団の演奏でリヒャルト・シュトラウス作曲のヴァイオリン協奏曲ニ短調作品8を聴いてます。

 

堂々とした風格と柔和さが同居していて、古典主義的な形式感と調和が特徴的です。危うげなく、安定的に展開をしています。

 

オーケストラ全体はふっくらと響かせていて、しかも滑らかです。弦楽器は抒情的に、木管楽器ははまろやかに、金管楽器ティンパニは恰幅よく響かせているのが印象的です。濃すぎないハーモニーの豊潤さがこの作品を聴き心地の良いものにしていて、耳当たりが丁度良いです。穏健な美しさを感じさせます。

 

ヴァイオリンのソロも凛とした艶があり、技巧面で細やさと情緒が心の芯にまで染みていく演奏です。音はきれいに磨かれていて、洗練度の高いものとなっています。オーケストラとの絡みにおいても、情緒の先導役となって共存し、ある種の暖かい雰囲気を醸し出すのです。

 

ちなみに、このヴァイオリン協奏曲はリヒャルト・シュトラウスが18歳の時に完成させたもので、その頃は保守的で古典的な作曲家の影響を受けて作曲していた頃でした。道理でブラームスの様な渋さと和声の色合いが強く出ている訳です。

 

しかしながら、最終楽章ではヴァイオリンのソロが特に弾けたテクニックで明るく登場しています。その点からは後年の作風を思わせる所があります。オーケストラは第二楽章までは穏便さを基調としていましたが、第3楽章でその様な技法を幾らか奏でていて、リヒャルト・シュトラウスの個性はこの時からずっと一貫している事を窺わせます。

 

 

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