チャイコフスキーのグランドソナタを上原彩子さんのピアノで

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上原彩子さんのピアノでチャイコフスキー作曲のグランドソナタト長調を聴きました。

 

移ろいゆく心情を表現できていて、コシの強さと同時にうねりのしなやかさもあります。その点だけでなく、ハーモニーと音響の濃密さも相まってシューマンの影響を感じさせますし、不安定さも伴った多感的な感情表出というチャイコフスキーの個性が遺憾無く発揮されているのです。

 

それから、旋律も煌めいた美しさを発露しては、穏やかに紳士的で上品な雰囲気をも生み出す演奏にもなっています。速度の早い箇所めは浮き立つ様な足取りで素早く駆け抜け、静かな箇所ではしっとりと聴かせます。

 

因みに、この曲は1878年すなわちチャイコフスキーが38歳の時に作曲です。その頃の彼はモスクワ音楽院での仕事をする生活から、イタリアなどの外国で生活しては富豪のメック夫人からの支援で作曲に専念できるようになりつつありました。一人の作曲家として、充実した日々を謳歌する伸びやかさもこの曲に反映されていると言ったところでしょうか。

 

チャイコフスキーと言えば、バレエや交響曲など大規模で演奏時間もそれなりに長い音楽の作曲家と一般的に見做されます。彼はピアノ音楽に於いても、このグランドソナタでその様な規模の大きい交響楽の作曲家としての腕前を発揮、演奏時間も30分強となっています。

 

 

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