アシュケナージの指揮とクリーブランド管弦楽団の演奏で交響的幻想曲「イタリアから」

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ウラジーミル・アシュケナージの指揮とクリーブランド管弦楽団の演奏でリヒャルト・シュトラウス作曲の交響的幻想曲「イタリアから」を聴いてます。

 

しっとりとさせた音響を基軸としながらも、音響とその色彩がとりわけ豊かです。

 

北欧出身のアシュケナージらしく、情緒的な優しさを感じさせます。長閑な田舎での活気と落ち着きを感じさせます。それでいて彼独自の華麗にテクニックを繰り広げる個性も台無しにせずにしっかりと出ています。

 

金管楽器も音が太すぎずに実直に響かせていています。伸び伸びとしているのです。

 

ハープの色添えも細やかなものとなっています。

 

4楽章ではフニクリ・フニクラという有名なイタリアの歌曲を用いていて、繊細かつ小洒落た旋律を展開しています。タンブリン・トライアングルなどティンパニ以外の打楽器もこの楽章でのみ用いられていて、広々とした明るい大地の高原地帯を彷彿させます。

 

ちなみに、この曲は1886年すなわちリヒャルト・シュトラウス22歳だった頃に作曲されました。元々、彼は物事の描写をしない絶対音楽の音楽家でしたが、作曲当時はリストの様な標題音楽に興味を持つ様になっていました。更に、ブラームスの勧めでリヒャルト・シュトラウスはイタリアにも旅行をしていて、その時に作曲を進めていたのです。

しかし、具体的な物事の描写は無くて四楽章制を用いるなど、絶対音楽交響曲の枠組みからは完全には脱却してないです。そもそもブラームスの勧めでイタリアに旅行しましたもんね。

なお、交響詩の発明で有名なかのフランツ・リスト標題音楽を作るにあたっては、何かしらの標題となる主題に対して、その抽象的なイメージや内容を音楽にしていました。余り具体的には物事の描写をリストはしてなかったのです。

要するに、この幻想曲を作曲した当時のリヒャルト・シュトラウスは、元々のリストの標題音楽に倣っていた可能性も十分にあります。後の大規模で具体的な描写をする交響楽の作品への過渡期に彼は差し掛かっていたとも言えます。

 

 

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