プリーシ・デ・シルヴァのフォルテピアノでエマヌエル・バッハのピアノ音楽集を聴いてます
プリーシ・デ・シルヴァのフォルテピアノでエマヌエル・バッハのピアノ音楽集を聴いてます。
飾り気が無く素朴に旋律を奏でています。
テクニックも巧みで、変な主観性も無く客観的に音を出しています。音をコンパクトにまとめ上げ、小粒ながらもアッサリと且つピリリとした表現となっています。その為、凛々しく冴えた旋律線の造形がなされています。
フォルテピアノを用いている分、ハープの様な響きも当然入っていて、エマヌエル・バッハ特有のリズミカルな巧さも相まって優雅さも何処と無く混じっているのです。
それから、全体的な音は硬質でピンとしていながらも動的な楽節と静的な楽節の対比も上手く、メリハリも付けられていて聴き手をあきさせません。
この録音のプリーシ・デ・シルヴァはチェンバロの演奏も録音している女流の古楽演奏家です。故に、彼女は作曲者が生きていた当時の音楽の再現をしっかりと行おうとする姿勢で取り組んでいます。それ故に、音の強弱もある程度は付けていますが、フォルテピアノにもチェンバロの奏法を反映させているのが良く分かります。すなわち、チェンバロの様に雅で押したままの音を尊重しているのです。エマヌエル・バッハがバロックと古典の狭間に位置し、それを見事にフォルテピアノの演奏にも反映させた興味深い録音となっています。
因みに、エマヌエル・バッハは左利きであった関係で弦楽器の演奏は不得手で、その関係で鍵盤楽器の方に力を入れたそうです。父に負けず劣らず多くの鍵盤楽器の為の作品を数多く作曲しては、独特のピリッとした技巧を盛り込む点を鑑みれば、納得です。
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