ラヴェルの遺作のヴァイオリンソナタを聴きました
この曲は彼が22歳の頃の1897年に作曲、まだパリ音楽院の学生でフォーレなどの元で音楽を学び、新しい芸術作品の影響を受け始めていた頃です。更に言えば、1898年に公式に作曲家としてデビューする一年前でした。
私はこのヴァイオリン・ソナタで驚いたのはラヴェルの個性が既に完成していて、この時から古典主義的な形式感、すなわち整った調和のある作品を作り上げているのです。それでいて和声もフランス音楽ならではの繊細な神秘性を十二分に感じさせますし、作曲者独自の色彩も聴きごたえありです。言われなければ、ラヴェルの最初期の作品であるとは気づかないほどです。
そんな曲をオレグ・クリサのヴァイオリンは、しっとりと奏でつつ息を持続させてときおりピンと旋律の線を張ってます。それにより繊細すぎて聴き手をウトウトさせてしまうのを防ぎ、一定の緊張感を持って聴けるように配慮しているかのようです。
ピアノのタチアナ・チェキーナの方はというと、繊細なフランス音楽をちゃんと表現できているのは勿論の事、陰影に富んでいて丁度良い濁り具合で音を鳴らし、メロデイを澄ませています。
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