サン=サーンス作曲の二台のピアノの為の音楽を聴きました。

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マリレーヌ・ドースとアニー・プティットのピアノでサン=サーンス作曲の二台のピアノの為のアルバムを聴いてます。作品番号から見るに若い頃の作品が1つ、中年期のものが1つ、それ以外は老年から晩年にかけて作られました。

 

ベートーヴェンの主題による変奏曲作品351874年作曲で演奏時間は18分弱にも及びます。この時彼は39歳、フォーレなどと共に国民音楽協会をフランスで設立してから数年が経った頃の作品です。そんな意欲も生き生きとこの作品にも投影されています。元々のベートーヴェンの作品の誠実で質や技巧の面で凝っている傾向は疎かにせずに音の強弱の面でメリハリをしっかりと付け、時折流麗な技巧も発揮させてきます。サン=サーンスがピアニストとしても活躍し、古典派の音楽に精通しただけの事はあります。この曲では作曲者自身のベートーヴェンの研究成果を曲にした感があり、動物の謝肉祭の様な華麗さは抑制されています。

 

2人のピアニストも濃密に音響を奏で、実に淑やかに聴かせてます。ピアノの鍵盤へのタッチも凝っています。

 

その他の曲はと言いますと、ポロネーズ(1886年作曲)では華麗に力強くリズムを刻んでいます。舞踊の形式もあり、作曲者もショパンを相当意識した事が伺えます。豊潤な和声もたっぷりで、ピアニスト・サン=サーンスの真髄を垣間見たかのようです。

 

1890年作曲のスケルツォもサン=サーンスの華麗なテクニックが健在、その曲ではリストのメフィスト・ワルツの影響か何処と空虚さのある技巧の旋律が冒頭などで何回か登場しています。その後は目まぐるしく活発なテクニックを発揮させて曲が展開していきます。

 

この曲は特にフランツ・リストの影響が大きく表れていて、サン=サーンスが彼の音楽の普及にも務めた事や当時としては先進的な作曲家だと言われたのもよく分かります。

 

 

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