ギレリスのピアノでフィガロの結婚の主題による幻想曲を聴きました

f:id:klassischemeister:20191005101156j:plain

エミール・ギレリスのピアノでリスト作曲の「フィガロの結婚の主題による幻想曲」を聴いてます。

 

録音は古く、音が少々割れていたりこもったりして多少の聞き辛さはあります。しかしながら、細かくピアノの鍵をタッチしてはギレリスの大胆な所は健在です。それにしても豪胆さでいかにも男らしい力強さは圧倒されます。特にこの曲の終盤のクライマックスには驚きでした。

 

この曲はフィガロの第1幕のアリアとケルビーノの第2幕の有名なアリアの旋律を元にリストが作曲しました。いわゆるトランスクリプションというものです。

 

ここでトランスクリプションの定義をします。それはある特定の作曲家の作品が別の作品の流れにおいて変形させられて登場する事ですね。広義ですと、別の作曲家の曲のメロディーを用いて新たに変奏曲を作る事もそれに該当です。

 

さて、この曲はいいと言いますと、1842年に作曲ですが未完です。それは20世紀の作曲家のブゾーニが補筆完成です。リストがこの曲を作ってた時、ピアニストとしてあちこちで演奏活動を行っていた頃でした。恐らくピアノ音楽の作曲家としてもピアニストとしても多忙なのもあり、それを完成させられなかったのでしょう。それにしても、その当時の若さのたぎる超絶技巧がこの曲の特徴であり、静かな所では、ショパンほどではないものの、叙情性を聞かせています。その点では、リスト作曲をする上で「技術は表現の手段であって目的ではない」との信条を反映させていると言えます。

 

購入はこちらから。