フルトヴェングラー作曲の初期の管弦楽曲を聴きました
フルトヴェングラー作曲の序曲変ホ長調作品番号3を聴いてます。アルフレート・ヴァルター指揮、スロバキア国立フィルハーモニー管弦楽の演奏です。
初期のフルトヴェングラーの作品らしくロマンシズムに満ちた楽曲です。しかもこの曲の耽溺ともいうべき美しさにうっとりさせられます。イングリッシュホルンのソロも印象的です。その展開を基礎としながらも突発的に急速なテンポでメロディーの転換をする事があり、その点ではブルックナーを彷彿させます。流石は後期ロマン派の作曲家です。
曲そのもののスケールの大きさも健在で、自分は指揮をする作曲家であると自負していただけの気持ちも聴いてて伝わります。
それだけに批評家達を恐れた事もあって作曲が進まないうちに70歳にもならないうちにこの世を去ってしまったのには悔やまれます。
カップリングは複数楽章の為の交響曲を想定して作られたと思われる管弦楽曲が二曲で片方がニ長調、もう片方がロ短調です。
前者はベートーヴェン的な勇ましさと闘争の様な葛藤が特徴的で、うねりある壮大さを響かせています。ブラームスの様なハーモニーのいぶし銀の作りも見事です。
1楽章しか完成されていないものの、演奏時間は約18分で後半にはフーガも登場しているので、未完成でありながらも曲の完成度は高いですね。
後者のロ短調の方はラルゴで、葬送行進曲の様な悲痛さで展開していきます。トスカの第三幕の「星は光りぬ」やマタイ受難曲にも通じます。全体的には長調にして緩徐楽章では短調にするパターンなのか、それともどの楽章も短調にする想定で作曲したのかまでは分かりませんが、この曲だけでも13分半の長さで、深淵な風格を感じさせます。大太鼓とシンバルまで登場し、その傾向が一層強まっています。
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