ネーメ・ヤルヴィの指揮でリムスキー・コルサコフの第二交響曲を

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ネーメ・ヤルヴィの指揮、エーテボリ交響楽団の演奏でリムスキー・コルサコフ作曲の交響曲第2番「アンタール」を聴きました。

 

柔らげな音色で陰影を染み通すものとなっています。そうして物憂げな夕暮れを彷彿させる一方、曲の速度を上げて光明の瞬くかの様な煌めきを聴かせる事もあります。そうやって広大な海を思わせる音響を演出し、幻想的で温和な旋律を次々と編み出していくのです。特にハープと木管楽器の音が色気のある幻影を生み出し、ティンパニの木霊する音は強すぎず鋭すぎずの程よいものとなっていて、広々とした響きを見事に作り上げています。アラビアンな趣に満ちた旋律も鮮やかです。

 

それと、この曲も交響組曲「シェヘラザード」にも負けないほどの色彩感があります。弦楽器群が細やかに海が次から次へと波打つかの様に音を刻めています。一見すると同じに見えたり聞こえたりする波でも微細な違いがあって趣のある側面を如実に表現しています。金管楽器群やその他の打楽器も時として力強く沖へと打つ波やその上を朗々と渡っていく船を凛として表すかの様です。

 

総じて言えば、知名度は「シェヘラザード」より劣るものの、管弦楽法の面でリムスキー・コルサコフの色が前面に出ていて、色彩に富んだ佳作であると言えます。海を連想させる作風を押し出している辺りは、海軍の経歴のある作曲者ならではの個性です。この交響曲が1868年に作曲でリムスキー・コルサコフがまだ海軍に在籍していた頃のですから、その傾向はなおさらです。

 

ちなみに、アンタールとは6世紀のアラビアの男の詩人で、中東ならではの独特雅なメロディも登場しています。この交響曲には物語の筋書きがあります。その内容はと言いますと、彼が妖精の女王と出会ってから、彼女からのお礼の喜びを得て死ぬまでの過程を表しています。その為、標題のある多楽章の交響曲の様な作品となっていて、1897年に改訂をした際には交響組曲として扱われる事となりました。

 

版の違いの比較もしたいものです。

 

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