エーリヒ・クライバーの指揮とNBC交響楽団の演奏でドヴォルザークの「謝肉祭」を

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NBC交響楽団の演奏とエーリヒ・クライバーの指揮で、ドヴォルザークの「謝肉祭」作品92を聴きました。

 

気合の入った実に鮮烈で芯の通った演奏です。トスカニーニの元で非常に鍛え上げられた事もありますが、作曲者のチェコ人としての誇りと自国に対する強い思いを投影させているかのようです。彼ならではの美しい旋律と拍子で、グイグイと聴き手を虜にしていく所もしっかりと響かせています。

 

それから、極めて燃焼度も高くピンと糸を張った緊張感も終始抜けません。録音年代が1947年か1948年と終戦直後であるという背景もありますが、思わず圧倒されますし、聴いていてその感触が寧ろ心地よく、演奏の凄みが堪能できる名演となっています。9分程度の演奏時間の中で、エーリヒ・クライバーの指揮が丁寧かつ確実にオーケストラをまとめ上げ、それでいて明快に歌い上げる事に長けていた事を如実に伝えています。そんな明快な歌心の姿勢は息子のカルロスにも引き継がれているとでも言いましょうか。

 

ちなみに、この序曲「謝肉祭」は三部作の中の1作品で、「自然の中で」「オセロ」とまとめて「自然と人生と愛」とドヴォルザーク本人が呼んでいて、1892年に完成です。ただ、この三曲は標題音楽ではない事から何かしらの描写をするわけではなく、三作連続で演奏される事はあまりありません。曲の傾向自体が三者三様で音楽の主題そのものに連関性が無い事もその要因かと思います。せめてスメタナ交響詩「我が祖国」の様に各曲に共通する主題が何か一つでも有れば三曲通して演奏されたかもしれません。さて、「謝肉祭」はこの三部作の中では人生に当たります。ドヴォルザーク自身が肉屋と宿屋で生まれ育った事トランペットを吹けた伯父とツィターという弦楽器の弾けた父親の影響もあった事、経済的な困難や失恋など色々ありながらも充実した音楽家としての人生を歩んだ事がこの曲にも反映されていましょうか。

 

 

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