エマヌエル・バッハのピアノとチェンバロの為の二重協奏曲を聴きました
エマヌエル・バッハのチェンバロとピアノの為の二重協奏曲を聴いてます。リー・シュターデルマンのチェンバロ、フリッツ・ノイマイヤーのフォルテピアノ、アウグスト・ヴェンツィンガーの指揮、バーゼル・スコラ・カントールム合奏団の演奏です。
全体的にはゆっくり目な演奏で、音の一つ一つをじっくりと聴かせていこうとする深い味わいがあります。それ故に音響面でも集めなものとなっている上に、各々の楽器の音色も聴きとり易いです。古典派の協奏曲と言いますと、どうしても管楽器が弦合奏に埋もれがちなのですが、その傾向があまり無くそれぞれのパートの音がよく聴こえています。
それから、この演奏での曲の深みと音響の厚さに関していえば、父の大バッハに通ずるものがありますね。決して華々しくは無いものの、深く思索する様な哲学性を彷彿させます。演奏する側も作曲した側もこの大作曲家への畏敬を払いつつ作り上げている意図を感じさせます。偉大な父にして我ありといったところでしょうか。
この曲に関しては、別の演奏家のもので一度取り上げましたが、今回のこの録音は1961年でモノラルです。その為、若干時代を感じさせる古めかしい音質であります。それから、この時代と言いますと、バロック音楽でも現代楽器で演奏される事が当然の時代でした。故に、その時世でフォルテピアノを用いた演奏はとても貴重です。その点からも歴史的な重みがあり、ピリオド楽器の盛んな現代の先駆けとも言えます。この様な流れがあって今があると考えると感慨深いです。それでも私はこの曲を現代版のピアノとチェンバロで聴きたいという欲求もありますけどね。
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