エマヌエル・バッハのヴィオラ・ダ・ガンバソナタを聴きました

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レベッカ・ルソーのヴィオラ・ダ・ガンバとゼバスティアン・ヴィーナントのフォルテピアノエマヌエル・バッハヴィオラ・ダ・ガンバソナタを聴いてます。

 

ヴァイオリンやチェロのソナタにも負けないくらい技巧を時には凝らす事もあり、ヴィオラの雅さとチェロの深いコクを両立させるというヴィオラ・ダ・ガンバの楽器の特性を活かしています。聴いていて、高級で広々とした宮廷内を思い起こす位です。

 

それと同時に突発的でトゲを効かせたリズムやを聴かせる事もあれば、思索性のある旋律を奏でる事もあります。前者の点からは、作曲者の個性を感じますし、後者の点からは父への畏敬を感じさせます。フォルテピアノの演奏は淡々とした味付けとなっていて、ヴィオラ・ダ・ガンバにちょっとした華を添えています。決して出しゃばりすぎず、その弦楽器の優雅な色を引き立てているかの様です。

 

ちなみに、父の大バッハヴィオラ・ダ・ガンバの為のソナタを3、4曲作っておりいます。父の方は1730年代辺りにこの弦楽器の為のソナタを作り、オーケストラの通奏低音の一員のとして用いる事もありました。一方のエマヌエルの方はと言いますと、1740年代の半ばと1750年代の半ばに合計で三曲作曲しています。エマヌエルが音楽家として自立して以後、これらのソナタを作曲する頃にはヴィオラ・ダ・ガンバは時代遅れの楽器となっていました。それにも拘らずこの楽器での作曲をしたという事は、エマヌエルが偉大な父の音楽性を引き継ぎ、かつバロック様式の音楽を偲ぶという意味合いも込めていたのかもしれません。更に、この録音では伴奏にフォルテピアノという作曲当時としては新しい楽器を用いている為、エマヌエルが時代の狭間にいた作曲家である事を十分に仄めかすという粋な取り組みにもなっています。

 

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