プーランク作曲の田園のコンセールを聴きました

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プーランク作曲の田園のコンセールを聴きました。ジョージ・マルコムのチェンバロとアイオナ・ブラウンの指揮、アカデミー室内管弦楽団の演奏です。

 

実にあっけらかんとした曲調です。

オーケストラの音響は膨よかで温もりを十二分に感じさせるものとなっています。

外観を美しく整える一方で、内面を少しずつ熟成させて良いものを作るかのようです。アカデミー室内管弦楽団の持ち味たる中規模ながらも大規模なオーケストラに負けない充実感を引き出しています。

 

マルコムのチェンバロも味を効かせた聴きごたえのあるものとなっています。時には管弦楽に溶け込んで味わい深い通奏低音を奏でます。この曲はチェンバロの演奏にも拘らず、鋭い不協和音も登場します。そこをマルコムは以下にも近代の作曲家らしさを醸し出すかのようにソロの部分で快活に辛辣な嫌味も交えて音を紡げています。

 

さてこの曲は1927年に作曲され、ワンダ・ランドフスカという女流のチェンバロ奏者に献呈されました。

この女性は20世紀においてチェンバロの復活に尽力した人物であります。その一環として近代の作曲家からの委嘱を受けてチェンバロを用いた新曲の演奏を行いました。その第一号がファリャで、その第二号がプーランクだったのです。

彼女がいたからこそ、クラシック音楽以外での分野でもチェンバロの音を聞くことが出来たり、古楽が復興したのかなと思うと、

 

チェンバロといえばバロック・古典派の音楽家の楽器だった為、18世紀当時の精神をプーランクは活かそうとしました。その為、この曲を合奏曲のように演奏してもらおうと協奏曲ではなくコンセールと名付けたのです。時にはチェンバロ通奏低音のようになるのはそのためですね。音楽を嗜む貴族たちが作られた曲を空きの時間に自由に楽しむ様子をなるべく再現させるかの如く、上品で気さくな作風となっています。

所々で鋭利かつ皮肉まじりな不協和音と半音階を詰めている辺りは近代の作曲家らしさがありますし、ショスタコーヴィッチの先駆けともなっていますね。

 

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