ミヨーのハープ協奏曲をケント・ナガノの指揮で

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ケント・ナガノの指揮、リヨン国立管弦楽団の演奏でミヨー作曲のハープ協奏曲を聴いてます。

 

音の曲線がクッキリとしていて、耳によく伝わる演奏となっています。旋律がよく磨かれていて、明瞭さが際立つのです。

 

この協奏曲ではハープが主役という珍しい曲となってきますが、その楽器の特徴をふんだんに活かしています。キメ細やかでたおやかな音色を奏で、女性の品格を旋律にしたかなような凛とした美しさを十二部に感じさせるのです。

 

一方、オーケストラはその様な気品のある独奏を引き立てる為、控えめながらも上品なハープの空間を醸し出し、優しげな音響を紡いでいます。そんな音の中には、打楽器・金管楽器も登場しています。これらの楽器とハープが同時に音を鳴らす事は、通常の管弦楽曲ではそうそうありません。それらの楽器がハープ主役の曲でまさか使われるとは思いませんよね?マーラー交響曲が良い例です。ですが、それらが強めの音を出して、メリハリを付けたりちょっとした味付けをする時には、ハープと同時に鳴る事もあり、面白い特徴のあるものとなっていています。比較的穏やかな曲調の中で、普通は交わらない楽器同士の協奏がとても個性的です。他には無い様な発想の管弦楽法で色付けを行いつつも、自らの個性をやんわりと盛り込んで曲を作ったミヨーの才能も充分に感じさせます。

 

因みに、この曲の作品番号は353で作曲年代が1953年です。この時のミヨーは既に61歳と音楽家として円熟の域に達していました。時代的には第二次大戦も終わり、母国のフランスも戦後処理が落ち着いて平和に向けてより動こうとしていた頃でもあります。彼の多作ぶりにも驚かされますが、このハープ協奏曲はひと段落ついた時のちょっとした安堵と年齢的な熟達がとても感じる隠れた佳作です。

 

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