アシュケナージのピアノとハイティンクの指揮でラフマニノフのピアノ協奏曲第四番を
ウラジーミル・アシュケナージのピアノとベルナルド・ハイティンクの指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏でラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第4番を聴いてます。
華麗で温和さのある響きを醸し出した演奏です。それと同時に細やかにキラキラと音を紡ぎ出していくピアノが実にオシャレです。時には小刻みなテクニックで音を弾ませ、時にはゆったりとした調べを聴かせてから芯のある音を叩き出し、メリハリを効かせます。
一方のオーケストラの方はというと、濃密な和音で旋律を奏ででは、上品な空間を演出していきます。豊潤な音響効果で広々とした音楽の流れを生み出すのです。それだけで無く、各々の楽器の音色も大事にしていて、木管楽器のソロや同じ種類の弦楽器ないしは金管楽器も品の良い旋律を奏でています。
上質な響きのまとまりの正体をオーケストラの各楽器のメロディでもって丁寧に話しているかの様です。第三楽章では、トライアングル・大太鼓・シンバル・タンバリンも登場しています。第二協奏曲ではシンバルだけでしたが、それ以外の打楽器を用いている所からはちょっとした華やぎも感じさせます。
ちなみに、この曲のスケッチ自体は1914年からありました。ですが、1917年のロシア革命でこの曲どころか作曲活動自体が停止、アメリカでの演奏活動中の1924年に作曲をして、パリ滞在中の1926年にやっと完成です。その後も、作曲者自身も曲の長さなどで納得がいかずに1938年に改訂を施しました。出版自体はラフマニノフの没後一年の1944年であった事を鑑みると、本人としてはまだ改善の余地ありと判断したのでしょう。この録音もそうですが、この改訂版での演奏が多いです。
第二協奏曲と比べると、この第四番は良くも悪くも控えめな美しさがあります。その側面をより良くしてから出版に踏み切ろうとしたのかもしれません。
それと、改訂前のバージョンも残っていて、その版で録音した演奏家もいるそうです。
いつかは聴いてみたいものですし、長い物好きな私としては興味をそそりますね。
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