サティのバレエ音楽「パラード」を聴きました。

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ルイ・オーリアコンブの指揮とパリ音楽院管弦楽団の演奏でサティのバレエ音楽「パラード」を聴きました。

 

小粒に良く整った音楽となっています。

 

音使いも細やかで一つ一つの楽譜の音が明瞭なものとなっています。

 

教会のガラス細工のような精密な美を感じさせます。

 

それと同時に、サティならではの奇抜な神妙さも地味に醸し出せていて、現実世界にある日常をありのままに即物的に表現できています。汽車の音・焚き火の音などを打楽器で上手にオーケストラに溶けませて再現できているのです。

 

作曲者の作風は時としてはユーモアとなり、アメリカや中国などの音階を用いては斬新な響きを生み出し、極めて個性的なものとなっています。サティが数々のフランス音楽の作曲家やその他の国の近代音楽にも多大な影響を及ぼした事も窺えます。その様な特性をこの演奏では、ある時は淡々と味わい深く、ある時は皮肉っぽく辛辣にピリリとした音響で演奏しています。その様な聴き応えが面白いです。

 

それから、演奏時間は20分に満たないものの各々のモチーフがこのバレエの所々で散りばめられていて、主題の色付けではワーグナーに劣るものの、サティも今までのロマン派の作曲家を勉強した上で自分の個性を確立した事がよく分かります。

 

ちなみに、この曲は第一次大戦直後の1917年に初演、音楽だけでなくピカソの美術の奇抜さも相まって賛否両論の騒然となりました。ですが、その様な革新的な音楽はフランス6人組などの後世の音楽家ピカソより後の世代の画家などに影響を与えました。このバレエ音楽は近代芸術の神髄をも表しているとも言えましょうか。

 

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