カラヤン指揮ベルリンフィルによるベートーヴェンの三重協奏曲

 

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カラヤン指揮による三重協奏曲

 

ヨーヨーマ・ムター・ゼルツァーは三人とも伸びやかに伸び伸びと歌うように演奏出来ています。時にはきめ細やかに、時には力も込めて音を鳴らせています。

 

カラヤンの指揮は壮麗に誰かを慈しむかのような崇高なものがあり、ベルリンフィルも三人のソロに埋もれないようにソリスト達の間からひょっこりとメロディーを時折出せてます。木管楽器のそれが印象的でした。

 

さてこの曲は、1803年から1804年の作曲と難聴に悩まされてた頃の作品の一つです。先の記事にも出ていたハイリゲンシュタットの遺書の時期でもあります。

 

そのため、何か他にはない新しい事をしよう、そうだピアノ三重奏とオーケストラを合体させた大きな曲を作ってみようじゃないかという発想が見え隠れしてますね。彼以前の作曲家ですとモーツァルトなんかも複数のソリストを必要とする曲を作ってますからね。

 

ただ、ソロ楽器担当を2人以上要する曲をベートーヴェンはこの曲しか作ってないです。一般的にはこの協奏曲、ソロやオーケストラのバランスが悪いと評されていますし、ベートーヴェン本人もそう痛感したからこそ、この類の協奏曲は作らなかったのでしょう。

 

それでも私はベートーヴェンの意欲を感じさせる密度の高さが三重協奏曲には滲み出ていて、好きですね。

 

カップリングのエグモント序曲も弦楽器がシャキシャキとリズムを効かせて音をならせてますし、管楽器もティンパニも流麗にテンポよく響かせています。

 

全体的にはスポーツカー好きなカラヤンが颯爽と運転しているかのようにスピーディさのある作りとなってますね。

 

リアランは陰影をふんだんに使って壮大かつ透き通った演奏をしています。洗練度の高さも窺えます。

 

フィデリオ序曲も危うげなくベルリンフィルを統率していて、天空から光が差すかの如く奏でています。音そのものはカラヤンらしく爽やかな綺麗さを伴っていて、安定感がありますね。曲の終盤では破綻なく急速に展開させられてました。

 

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