ハイドン作曲のチェロ協奏曲第1番をイッサーリスのチェロ、ノリントンの指揮とヨーロッパ室内管弦楽団の演奏で

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ハイドン作曲のチェロ協奏曲第1番を聴きてます。スティーブン・イッサーリスのチェロ、ロジャー・ノリントンの指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏です。

 

ノリントンと言えば、古楽の演奏を思い浮かべてますがこの録音では現代楽器を用いています。

 

オーケストラの方は素朴に飾り気なく古典的な調和を体現しています。古楽で培った指揮と管弦楽の一体感をヨーロッパ室内管弦楽団との演奏でも活かせているのです。

メリハリもつけて明快にハイドンの人間味を巧みに染み出すものとなっています。通奏低音の様な役割を果たすファゴットの事もちょっとした隠し味を利かせて、巧妙に聴き応えの色添えをしています。

 

イッサーリスの方はと言いますと、チェロを伸び伸びと歌わせてはスルスルと音を詰めて奏でています。ハイドンならではの水準の高い技術の要求も難無く満たせています。

 

ちなみに、このチェロ協奏曲第1番は本人の自筆譜が紛失してしまい、元の編成が不明です。筆写の楽譜では、弦合奏とオーボエ・ホルンが二人ずつです。では何故、この演奏ではファゴットがあるのかと言いますと、恐らくハイドンの第二チェロ協奏曲の編成にあるのかと思います。その自筆譜によれば編成が以下の通りです。

オーボエとホルンが2人ずつ、第一・第二ヴァイオリン、ヴィオラ、独奏チェロ、バス(ファゴット及びコントラバス)

バロック音楽では通奏低音のバスパートはみんな同じメロディを奏でていました。要するにチェロ・コントラバスファゴットは同じパートだったのです。

そんな2番の協奏曲にファゴットがあるのなら、一番にもきっとパスパートにファゴットが入っていたであろうと言う考察の元、ノリントン達はファゴットもこの録音に入れたのでしょう。ユニークでちょっとした味気のある演奏ですし、ノリントン古楽の研究をしていただけの事はあります。

 

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