ヴァルター指揮、BBC交響楽団の演奏でフルトヴェングラー作曲の交響曲第2番を聴きました。

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ルフレート・ヴァルター指揮、BBC交響楽団の演奏でフルトヴェングラー作曲の交響曲2番を聴きました。

 

楽曲そのものやオーケストラの編成の規模の大きさという意味ではブルックナーの影響をフルトヴェングラーは受けてます。しかし、ブルックナー木管楽器にあまり力を入れず、特にファゴットがさっぱりであります。

 

それに対してフルトヴェングラー  木管楽器金管楽器や弦楽器と対等に扱っていて、ブルックナー管弦楽法の欠点を解消しています。何とこの曲は4つ全ての楽章でファゴットのソロから始まるという構成になっていて、影に隠れがちな楽器の1つのファゴットもしっかりと聞こえるよう配慮しています。

 

第二次対戦の最中の1944年に作曲、1945年の終戦直後に完成です。

 

なお、フルトヴェングラーは自身を指揮する作曲家と見なしていました。若い頃の歌曲は良くも悪くもあっさりしていましたが、この交響曲2番に関しては作曲家としても経歴も長くなった事、作曲には慎重な気質故に作曲があまり進められない太刀だった事、指揮者として忙しかった事もあり、洗練度も高いです。

 

その為、指揮者の活動の合間に作曲の勉強を行い、その経験を一気に結実させてこの曲を生み出したのだと思います。それは荒れ果てたドイツの地を反映させるかのごとく深い悲しみを醸し出しています。とにかく悲痛さに満ちています。その一方で縦へ縦へと壮大に展開していく様は健在ですし、まるで天への到達とその救済を求めているかのようです。特に第四楽章ではそういった救いの渇望の傾向が強まっています。

 

1楽章の主題を最終楽章でも用いる、不協和音が多様で不安定、短い時間に音を集約させるなどの作風は後期ロマン派の作曲家としてよく学び、それをしっかりと活かしているフルトヴェングラーの姿勢が伺えます。

 

そんな長大な交響曲2ホ短調を柔軟性を持ってBBC交響楽団は演奏し、音響を広大に各楽器の音を透き通らせて奏でています。

 

ヴァルターの指揮も堅実で凛としていますし、悲しさの中に温かみを生み出す所は味わい深いです。力強いドラマチックさも時折見せてます。

 

 

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